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■第五座 磐戸照開諸神大喜之段(曲目名通称:磐戸) (いわとしょうかいしょじんだいきのまい)
この曲目は、再び世の中が明るくなり、諸々の神、老若男女ひとしく大喜びしたという静かな喜びの舞を表しています。三人による舞いで、素面の鈿女命(巫女)は、五十鈴に青弊と麻をつけた榊と鈴を持ちます。また、
扇の面をつけた手力男命は、榊の枝をつけた白大弊に鈴、もう一人の大宮女命(巫女)は、鏡と白弊をつけた榊と鈴を持って舞います。
この神楽は、須佐之男命(すさのをのみこと)の非行に怒った天照大神が、天の岩戸に隠れてしまい、そのため世の中は真っ暗闇になってしまった。そこで神々が集まり知恵者である
思金神(おもひかねのみこと)の提案で次のような策をとることになりました。 まず、「常世の鶏を集めて、長鳴きを競わせ、次に伊斯許理度売命(いしこりどめいのみこと)に八咫(やた)鏡、
玉祖命(たまのおやのみこと)に八坂勾玉を作らせ、用意した賢木をそれらに掛けて、布刀玉命(ふとだまのみこと)には御弊を、天児屋根命(あまのこやねのみこと)には祝詞を奉らせました。
そして、岩屋の前で鈿女命が神がかりの踊りを舞い、これを見た神々が大笑いをしました。この声を聞いて岩戸から天照大神が身を乗り出したところ、手力男命がその手をもって外に引き出しました。
これによって、世の中は再び明るさを取り戻した。」という天の岩戸の神話を題材としたものです。
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■第六座 八州起源浮橋事之段(曲目名通称:浮橋) (やしまきげんうきはしわざのまい)
この曲目は、イザナギ、イザナミの男女二神が橋を回っているうちにめぐり逢い、国をさがすとともに御子をも出生させたワザを舞うものです。これは、人々の喜びのはじまりを表したもので、
現在、日(男)、月(女)が天地を回っているような、ありがたい神楽と言われています。また、子孫繁栄あるいは開運を祈る舞いとも伝えられています。舞いは二人で行われ、舞台中央に橋を置きます。
「八州」とは、多くの島という意味で日本の総称のことです。この神楽は、国生みの神話を題材としたもので、天浮橋とは、神が天から地に降りたときに、その間にかかっていた橋のことで、「イザナギ、イザナミ
の神がこの橋に立って、沼矛を指し下した海中をかきまわして引き上げると、矛の先からしたらる塩が固まって一つの島ができ、ここで、次々に八つの島を生み、ここに大八嶋(日本列島)が完成した」と日本の
起源を伝えています。
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■第七座 大道神宝三種神器事之段(曲目名通称:三種神器) (だいどうじんほうさんじゅじんぎわざのまい)
この曲目は、国を鎮め、守る神楽と伝えられています。この曲目は三人による舞いです。 一人は、神?(そんじ)事人といい、翁の面をつけ、鈴と宝珠を持ちます。一人は、宝剣事人といい、千歳面をつけ、鈴と剣を持ち、
もう一人は、内待所事人といい、イワナミの面をつけ、鈴と鏡を持って舞います。
「大道」とは、天下を治める道のことをいい、このためには三種の神器が必要であるといいます。この三種の神器とは、八咫(やた)鏡、八坂勾玉、草薙剣の三つの神宝のことをいいます。昔から天皇の皇位の継承とともに
伝えられてきたとされるものです。この神器は、天孫降臨に際して、天照大神が瓊々杵命(ににきのみこと)にこの神器を与え、この世が続くかぎり支配することを命じたと伝えられています。
玉を持つ舞人は、櫛明玉神(くしあかるだまのかみ)で玉づくりの祖とされ、鏡を持つ舞人は、天糠戸神(あまのぬかどのかみ)で鏡づくりの祖、剣は天目一箇神(あまのまひとつのかみ)で金工の祖を表しているといいます。
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■第八座 祓除清浄杓大麻之段(曲目名通称:みそぎ) (ばつじょしょうじょうしゃくおおぬさのまい)
この曲目は、心身を清浄にし、身の過ちを改めなさいという教えの舞ともいわれています。この曲目は、素面の二人が杓と扇、鈴を持って舞います。
元来は、一人は四手と麻をつけた榊を持っていたようです。また、この神楽は、巫女が二人で舞いますが男性が舞ったこともあるといわれています。
これは、「黄泉国(よみのくに)からもどったイザナギが心を迷わせ不浄の身になっていたことを感じ、そこで身を清めるため、日向国の小戸の川瀬に降りたったところ、上の瀬は急流で、下の瀬は流れがゆるやかであり、
イザナミは、この瀬の中ほどの流れに入って身をそそぎ清め、心の汚れも清浄なものにした。」という記紀の神話を題材としたものです。このことから、このワザを内下清浄の祓(はらい)というそうです。
この舞いは、杓をもって水を汲みあげて体にそそぎ身を清めるしぐさを表したもので、舞いの中で扇を三度ひろげる動作は、水にうつった日がまばゆいため、扇をかさにして水に臨む姿を表したもとです。
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